色覚異常のタイプ事典
ヒトの目には、光の波長によって反応の異なる3種類の錐体細胞があります。長波長(L、赤寄り)・中波長(M、緑寄り)・短波長(S、青寄り)の錐体です。このうちどれかが欠けている(2色覚・いわゆる色盲)か、感度がずれている(異常3色覚・いわゆる色弱)と、特定の色どうしの区別が難しくなります。
各項目のカラーバーは、同じ10色をそのタイプの見え方でシミュレーションしたものです(Machado 2009 モデル)。モニターによって実際とは異なる場合があります。
正常色覚で見た基準の10色
1型2色覚(赤色盲)
Protanopia · 旧称:第1色盲
長波長に反応するL錐体がないため、赤・緑・茶・オレンジの区別が難しく、赤が暗く見えます。
男性 ~1.0%
1型3色覚(赤色弱)
Protanomaly · 旧称:第1色弱
L錐体はあるものの感度がM寄りにずれているため、赤緑の区別が弱くなり、赤がくすんで暗く見えます。
男性 ~1.1%
2型2色覚(緑色盲)
Deuteranopia · 旧称:第2色盲
中波長に反応するM錐体がないため赤緑の区別が難しくなりますが、1型2色覚と違って赤の明るさはほぼそのままです。
男性 ~1.3%
2型3色覚(緑色弱)
Deuteranomaly · 旧称:第2色弱
色覚異常のなかで最も多いタイプです。M錐体の感度がL寄りにずれ、緑系の区別が弱くなります。
男性 ~4.6%
3型2色覚(青黄色盲)
Tritanopia · 旧称:第3色盲
短波長に反応するS錐体が働かないため、青↔緑、黄↔ピンク・紫を混同します。きわめてまれです。
1万人に1人未満
3型3色覚(青黄色弱)
Tritanomaly · 旧称:第3色弱
S錐体の働きが弱いため、青・緑、黄・ピンクの区別がぼやけます。先天性はきわめてまれで、後天性のほうが多くみられます。
きわめてまれ
杆体1色覚(全色盲)
Achromatopsia · Rod monochromacy
錐体がほとんど働かず、明るさの差だけで世界を見ています。視力低下・強いまぶしさ・眼振を伴います。
約3万人に1人
青錐体1色覚
Blue cone monochromacy · S-cone monochromacy
L錐体とM錐体がどちらも働かず、S錐体と杆体だけで見ています。色の区別がほとんどなく、視力が低下します。
約10万人に1人
3つの系統に分ける
- 赤緑系(1型・2型) — L錐体またはM錐体の問題。X染色体で遺伝するため男性にずっと多く、色覚異常の大部分を占めます。遺伝のガイド
- 青黄系(3型) — S錐体の問題。7番染色体の常染色体優性遺伝のため男女差がなく、きわめてまれです。目の病気や加齢によって後天的に生じることもあります。
- 1色覚(杆体1色覚・青錐体1色覚) — 錐体がほとんど、または1種類しか働きません。色の区別がほとんどなく、視力低下・まぶしさ・眼振を伴うことが多くあります。
呼び方は国や分野によって異なります。日本では日本眼科学会が「色盲」「色弱」に代えて「色覚異常」という用語を用い、たとえば第1色盲を「1型2色覚」、第1色弱を「1型3色覚」(異常3色覚)と呼んでいます。一般には今も「色盲」「色弱」という言い方が広く使われています。